おばあちゃんだからって面倒見がよくて裁縫やお料理が上手なわけではない
私の祖母は料理が苦手です。
数年前に祖父がなくなったこともあり、自分ひとりのために料理をするのが億劫で、料理嫌いに拍車がかかっています。
これは、歳をとったからというわけではなくて、昔からです。
なんとなくおばあちゃんって料理上手でお世話好きなイメージがあるけれど、うちの祖母は私たちが小さい頃からずっと料理が下手でした。専業主婦だったけれど、祖母の料理はいつもイマイチ美味しくなかったので、ちいさい頃祖母の家に遊びに行った時に食べたいものを聞かれると、子供ながらに考えてカレー(安全メニュー)をお願いしていました。
そんな料理苦手な祖母なので、放っておくと「自分で作ったものが不味くて食べられなかった」と言って、激やせしてしまったりするので、最近は時々遊びに行って料理を作るようにしています。
しかし、毎日祖母の家に行けるわけでもないので「料理が苦手ならば、外食しては?」と提案するも「胃もたれするから外食をしたくない」と言って抵抗するので困り者です。
しかし、祖母の家でいざ食べたいものを聞いてみると「ハンバーグがいい」と言ったりする。え、胃もたれは…?となるけれど、まあいいやとリクエストに応えてハンバーグを作れば、こちらがビックリするほどモリモリ食べるので、食欲は旺盛なようです。
「このあいだ新鮮な鮪のカマを買ってきて煮たのだけれど、どうにもこうにも生臭くて食べられなかったのでマグロは捨てて、煮汁がたくさんあってもったいなかったので、残った煮汁で大根を煮たら、大根が全部生臭くなってしまい、結局食べられなかったのよね…花嫁修業中ならまだしも、80近いおばあさんがこれじゃあ困るわよねえ、あはは!」と楽しそうな祖母に、マグロのカマを煮るのは難しいから、予め煮てあるやつをがあるからそれを買うといいよ、と教えてあげましたが、あまり響いてはいないようでした。
私のアドバイスをスルーした上で、祖母から「今一番わからなくて困っているのは、ほうれん草をどのくらい茹でれば良いのかということだ」と真剣に相談されたので、本当に料理が苦手なんだなあと思いました。
その会話の最中に、ちょうど私がほうれん草を炒めているのを覗きながら「へえ、こうやって茹でればいいのねえ」と物知顔で頷いていて、私は今ほうれん草を茹でているのではなくて炒めているのだよ…と思いましたが、まあ指摘しても仕方がないので「料理の適当、って難しいよねえ」と言っておきました。
最近祖母は、自分自身料理が苦手なことを近所中に言って歩いているらしく、隣近所から料理のおすそわけを届けてもらっていると言うので、それは良かったねえと言うと「美味しいときはいいけれど、時々不味い日があるのよ」と、ひそひそ話で教えてくれました。
家のなかにいるので、ひそひそ話でなくても誰かに聞こえる心配はないのですが、他人の悪口を言うとき祖母は必ずひそひそ話で教えてくれます。
帰り際に「なにか困ったことがあったら連絡してね」というと「メールアドレスが英語で難しいので、日本語のアドレスに変えて
欲しい」と言われたけれど、私には解決できませんでした。